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国民全員に毎月最低限の生活費を支給――

ベーシックインカムってどんなシステム?

 ベーシックインカムという言葉を聞いたことはあるだろうか。大まかに言えば、国が国民全員に生活に必要な最低限度のお金を給付する制度だ。最近、ヨーロッパを中心に、各国で導入の議論が行なわれており、スイスでは'16年6月に国民投票が実施された。結果的に否決されたが、新しい制度としてフィンランドやオランダなども試験的な導入に踏み切るようだ。働かなくてもお金がもらえる夢のような制度に見えるが、実際に日本で導入されることはあるのだろうか。政経学部経済学科の関口博久先生に聞いてみた。

 「まず、欧州各国で議論されているベーシックインカムはその定義が様々で、日本でいう年金制度や生活保護制度との違いが明確ではありません。本来ベーシックインカムとは“全国民に、無条件で最低限度の金額を給付する”というシステムを指すと考えられ、この定義がブレてしまうと現行制度との区別ができなくなってしまいます」。

 そもそもベーシックインカム制度は、貧困層を救済するシステムとして18世紀末に誕生した。国民全員に一律で一定額を給付することで、生活の不安がなくなり、個人の消費も増加して経済が好循環するという考え方に基づいている。もし、現代の日本で導入されたら、どのようなメリットやデメリットがあるのだろうか。

 「メリットとしては、若者を中心とした貧困問題が和らぐとともに、最低限の収入が約束されるので、自由な働き方を選べるようになるでしょう。また、経済的不安の解消から少子化対策にもなると考えられます。しかし一方で、富裕層にも給付されるならば、格差の解消には直接的に繋がらないと思いますし、給付額にもよりますが財源の確保・調整が必要です。これまでの社会保障制度である年金や生活保護などの見直しも必要になるため、十分な議論がなされるべきだと私は考えます」。

 年金は働けなくなった老人の生活を保障し、生活保護は障害などの理由から就労できない人を救済するものだ。現在の日本の財政状況でベーシックインカムを導入しようとするなら、こうした現行制度を撤廃せざるを得ない。しかし、若者の貧困が続けば少子化は進み、日本は先細りしていくばかり。今こそ若い世代が中心となって、社会保障制度を考えなければならないのだ。

※この記事はウゴパン44号(2016年12月15日発行)に掲載されたものです。

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先進各国が抱える若者の貧困問題は他人事ではない。もしもベーシックインカムによって最低限の生活が保証されたとして、はたして若者世代は新たな仕事を生み出す挑戦者となれるのだろうか?

関口 博久

関口 博久 講師

国士舘大学政経学部経済学科講師。国士舘大学大学院経済学研究科単位取得退学。博士(経済学)。専門は国際租税、租税政策。著書に『租税条約の人的適用に関する研究—国際的租税回避への対応を中心として—』(単著)、『現代地方財政論—四訂版—』(共著)など。

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