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100th ANNIVERSARY NEWS

東洋と西洋の違いから人間の普遍的な苦悩へ。

孤高の文豪、夏目漱石没後100周年――

 今年、夏目漱石が没後100周年を迎える。『坊ちゃん』や『こころ』などの名作は教科書にも掲載されており、その名前を知らない人はいないだろう。新潮文庫の発行部数('11年調べ)では、『こころ』が累計約673万部で堂々のトップを記録。日本でもっとも偉大な文豪の一人だと言えるだろう。そんな夏目漱石は、いったいどんな人物だったのだろうか。文学部文学科の中島礼子教授に聞いた。

 「漱石の人生には、常に孤独が付きまとっていました。生後まもなく里子に出され、いったんは引き戻されますが、翌年には再び養子に出されます。その後、養父母の離婚を経験するなどの紆余曲折を経て、ようやく夏目家に復籍したのは21歳の時。親の愛情という面では乏しかったのではないかと推察できます。明治23年に東京帝国大学文科大学英文科に進学しますが、そのころの日本はナショナリズムが台頭した時代だったということもあり、英文科に進んだのは漱石ただ一人。卒業後は、教授などを歴任したのちにロンドン留学に出向きますが、ここでも深い孤独を味わいました。漱石はもとから神経衰弱をわずらっていましたが、ロンドンでは“発狂寸前”にまで陥っていたといいます。そのような状態で、のちに『文学論』としてまとめられる文学の科学的な研究を続けていたのです。漱石は、いわば孤独に向き合いながら苦闘を続けた人だったといえるでしょう」。

 漱石は、旧千円札の穏やかな表情や、教科書に掲載された作品からは想像もつかない苦悩の半生を送ってきた。孤独との闘いの中で、漱石が見つけ、読者に伝えたかったモノは何だったのだろうか?

 「漱石は、晩年に行った講演『私の個人主義』で【自己本位】について説いています。わかりやすく言い換えれば“他人の評価に捉われることなく、評価を下す”ということ。そうして、他の存在を尊敬すると同時に自分の存在を尊敬するのが【個人主義】であると説いています。漱石は“本当の自分らしさ”を持つ大切さと自分や他者を同じように尊重することを私たちに伝えたかったのかもしれません」。

 もし漱石が現代に生きていたら、親や友人の顔色をうかがい、同調意識の強い若者に何を思うのだろう。没後100周年を機会に漱石を読み返して、自分らしく生きることの大切さを探してみては?

※この記事はウゴパン特別号(2016年9月29日発行)に掲載されたものです。

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© Orion Press/amanaimages

複雑な家庭環境、帝大英文科での孤独、ロンドン留学で知った西洋。そのどれもが繊細な漱石を傷つけ悩ませた。そんな漱石の作品は、誰もが抱えながらも蓋をしている心の闇を描き出す。

国士舘大学,中島礼子,日本近代文学,博士(文学)

中島礼子 教授

国士舘大学文学部文学科教授。早稲田大学大学院文学研究科修士課程修了。博士(文学)。専門分野は日本近代文学。著書に『国木田独歩の研究』(単著)、『民友社とその時代:思想・文学・ジャーナリズム集団の軌跡』(共著)など。。

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