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アメリカ大統領選で暴言王が躍進――

トランプ旋風が巻き起こる、そのわけとは?

 アメリカの大統領選がこれまで以上に世界から注目されている。暴言王とも評されるドナルド・トランプ候補が旋風を巻き起こしているからだ。トランプ候補は女性蔑視、移民差別など暴言の宝庫。にもかかわらず、なぜ米国民は彼を支持するのだろうか。アメリカ政治史を専門とする佐藤圭一学長に聞いた。

 「トランプ候補を支持しているのは、おもに中間層から貧困層です。移民の流入によって職を失った人や、オバマ政権時の政策に不満を持つ人が大半。トランプ候補は、そうした国民の潜在意識を刺激するような過激発言を繰り返してきました。トランプ発言は視聴率が取れるため、メディアの報道も絶えない。こうした仕組みを利用するトランプ候補は、エンターテイナーの要素が非常に強い。歴史的に見ても、こんな大統領候補はいませんでした」。

 日本人の感覚では、あまりに危険な人物のように映るし、暴言を発した瞬間に国民から総スカンを食らいそうなものだが……。

 「トランプ旋風の背景には、米国人の根底に流れる国民性があります。“反知性主義”と言われるものですが、理論的な優等生キャラよりも感情に訴える過激なキャラを好む傾向があるのです。そもそもアメリカとは、入植者たちが拓いた未開の荒野であって、フランスやイギリスのように既存の教会がありませんでした。そこで活躍したのが全国(=辺境)を廻って布教活動を行った宣教師たち。彼らは感情に訴える言葉で、覚醒に飢えた人々の心を揺さぶったんですね。その宗教的伝統が米国民に根づいているため、強い言葉で感情移入に優れた救世主(ヒーロー)を求めやすいのです」。

 確かにトランプ候補の言葉は、問題だらけだが、大きな変化を望む人の心には強く響く。はたして大統領になりえるのだろうか? 「今回の大統領選は極めて異例ですから、まったく予想がつきません。一つ言えるのは、トランプ候補が共和党の代表として民主党のヒラリー候補と本選を争うことになれば、これまでのような過激発言が控えめになって行くことです。大統領のイスが近づくにつれ、トランプ候補も現実的な発言にシフトしていかざるを得ないでしょう」。世界の方向性を決めるアメリカ大統領選、今回は特に目が離せない。

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中間層の減退や世界的なナショナリズムの台頭、弱腰なオバマ政権への不満など……。世界が抱える問題が浮き彫りになった今回の大統領選。トランプ候補の発言が過激で差別的なほど、米国民には救世主のように映るのだ。

国士舘大学,学長,佐藤圭一,アメリカ政治史

佐藤 圭一 学長

国士舘大学学長。国士舘大学大学院博士課程修了。博士(政治学)。宗教法学会理事、比較憲法学会理事。専門はアメリカ政治史。著書(単著)に『米国政教関係の諸相』など。

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※この記事はウゴパン43号(2016年6月30日発行)に掲載されたものです。

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