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アメリカで同性婚の権利を認める判決――

日本の同性愛事情に与える影響は?

 6月26日、アメリカで歴史的な判決が下された。同姓婚を禁止する法律は違憲だとして、同性愛者の結婚が事実上認められることとなった。今回のアメリカの判決が日本の同性愛事情にどのような影響を与えるのか。政経学部政治学科の佐藤圭一教授に聞いてみた。 「今回の違憲判決はアメリカ全土での同性婚そのものを認めたわけではありません。アメリカでは、結婚に関する認否はそれぞれの州に任されており、今回の判決でも連邦関連法とカリフォルニア州以外は留保という形になります。そもそもアメリカ全人口(約3億人)の88%がキリスト教信者。旧約聖書では同性愛をはっきりと禁じており、南部の州では同性愛を認めない敬虔なキリスト教信者も多い。今後は賛成派と反対派の論争が強まるでしょう」。

 日本では、アメリカを“同性愛の先進国”として報じられることも多いが、実状はまったく違うようだ。「今回の判決で違憲とされた同姓婚を禁じる“結婚防衛法”(連邦法)の制定は'96年。そして同性愛者によるカミングアウトが活発になったのは、リベラル派のオバマ政権が誕生した'10年以降ですので、かなり最近のことです。もし、次の大統領選挙で保守派が当選した場合、同性愛に対して厳しくなる可能性も否めません。このようにアメリカはキリスト教に大きく影響されており、日本人とは根本的な価値観が違いますから、同様に考えることはできません」。

 そもそも日本には固有の宗教観がなく、江戸時代まで同性愛は“秘め事”として広く大衆に受け入れられてきた。今年3月には渋谷区で同性カップルを結婚に相当する関係と認め、証明書を発行する条例が可決。日本でも同性婚を認める動きが強まっていくとも考えられるが……。

 「日本は憲法第24条で“婚姻は両性のみ”と明記されているので、同性婚は違憲。法律的に認められるまでは長い道のりになるでしょう。しかし、アメリカとは違って、明確な宗教的(=道徳的)否定のない日本は、むしろ同性愛に寛容な一面もあるので、議論を続けていくことが大切です」。オネエタレントが活躍する日本では同性愛に対する自由度は高い。今後はそうした価値観を法律で定めるかどうかが課題となるだろう。

※この記事はウゴパン40号(2015年9月28日発行)に掲載されたものです。

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同性婚を認める州では養子を持つこともできるアメリカ。しかしその背景にはキリスト教に厳格な保守層との対立がある。欧米諸国で同性婚の自由化が注目されるのは、政治判断がキリスト教と密接に関わっているからで、固有の宗教観のない日本とは事情が違うのだ。

佐藤圭一

佐藤 圭一  教授

国士舘大学大学院政治学研究科科長。国士舘大学政経学部政治学科教授。国士舘大学大学院博士課程修了。博士(政治学)。専門分野はアメリカ政治史、アメリカの政治制度。著書に『米国政教関係の諸相』など。

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