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 2018年度から実施!?

「道徳」教科化のねらいとは?

 ウゴパン世代のみんなが小・中学生の頃、どんな「道徳」の授業を受けてきただろうか? 本を読んだり感想文を書いたりしたかもしれない。でも、はっきり言ってよく覚えていないというのが本音なのでは……。そんな曖昧だった「道徳の時間」が、早ければ2018年度から正式な教科になるという。こうした政府の方針に対して、新聞やネットメディアでは賛否両論の論争が巻き起こっている。はたして「道徳」教科化にはどんな問題があるのか。道徳教育に詳しい文学部教育学科の菱刈晃夫教授に聞いた。

 「論点は大きく分けて2つ。道徳の授業が、戦前の日本のように思想や価値観を統一するのではないかという点と、評価の方法をどうするかという点です。個人的な見解として前者はありえないと考えています。確かに文部科学省の方針を見ると、愛国心を育てるなどの意図が見えなくもありません。しかし、戦前と違って今の日本は価値観が多様化しています。年間35時間ほどの学校教育だけで子どもたちに思想を植えつけるには無理があるでしょう。

 問題は後者です。道徳は算数のように正解がない。とはいえ正式な教科となれば、先生たちは必ず評価しなくてはなりません。先生が望むような“いい子ちゃん”の回答をしていれば、評価が上がるというシステムでは道徳心の向上にはつながらない。教える側もどういう授業にするのか、しっかりと考えなければならないのです」。

 今のところ政府の方針でも評価基準ははっきりしていない。この問題を解決する方法はあるのだろうか。「小学校低学年は基本的な作法を教えるべきと考えています。座り方や話の聞き方といった習慣づけを行なう。そして、小学校高学年くらいからはモラルなどについて児童・生徒たちに“考えさせる”ことが大切でしょう。命や人間関係に対する考え方は教えられただけで身につくものではありません。道徳とは人間としてどう生きるべきかをそれぞれが考えることなのです。その想像力を育てることが道徳授業に求められるべきではないでしょうか」。

 道徳は教えるものではなく、育てるもの。教師だけでなく親や家族も真剣に取り組まなくてはならない“教科”だ。親になった時、自分の子どもにどう生きてほしいのか。これを機に道徳についてもう一度考えてみては?

※この記事はウゴパン38号(2015年4月3日発行)に掲載されたものです。

道徳,教科化

算数のように正解がない道徳では評価基準が最大の問題。先生が望む「いい子ちゃん」が増えてしまっては本末転倒だ。同時に、道徳授業を担当する教師には、命や人間関係について、子供たちと一緒に考えるスキルが求められる。

菱刈晃夫

菱刈 晃夫 教授

国士舘大学文学部教育学科教授。京都大学大学院教育学研究科博士課程修了。京都大学博士(教育学)。専門分野は教育学、教育思想史、道徳教育。著書に『習慣の教育学―思想・歴史・実践』(単著)、『メランヒトンとその時代―ドイツの教師の生涯』(翻訳)など。

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