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「バイト敬語」は日本語の乱れ?

それとも日本語の変化?

 「千円からお預かりいたします!」でおなじみのバイト敬語。オトナは耳にするだけで違和感を覚え、“日本語の乱れ”だとして嘆く人も多い。バイト敬語は果たして“日本語の乱れ”なのか、はたまた“日本語の変化”なのか。日本語学が専門の文学部文学科の中村一夫教授に聞いた。

 「日本語学とは、ある時代にこういう日本語が使われていたという事実を研究調査するものです。その使われ方に対して、良いとか悪いとかの道徳的な判断は加えません。したがってバイト敬語が日本語として乱れているとは言えない立場です。ただ、個人的にはやっぱりいい気持ちはしませんね(笑)」。

 日本語は絶えず変わっていくもの、そう考えるとバイト敬語も“日本語の変化”として考えられるとのこと。でも、そもそもバイト敬語は、どのようにして生まれ、根づいてきたのだろう。

 「現代語の研究者によると、例えば“コーヒー2つですね”だとストレート過ぎると感じるため、“コーヒー2つでよろしかったでしょうか”と遠回しにぼやかしているのではないかと説明されます。『方』や『とか』を多用するのも同じ意識からです。これは相手に対して距離をとってコミュニケーションしようとする意識の表れでしょう。極端に距離をとるのは、客に対する敬意とは別のものです。時と場合に応じて中間距離を保ち、ほどほどの距離感で交流する。そんなコミュニケーションを苦手とする若者が増えていったのかもしれません」。

 いまやコミュニケーションの主流はラインやツイッター。音声通話で話す機会さえも減ってしまった。小学生の頃からケータイを持っていれば、生身のコミュニケーションをとる機会も少なかっただろう。若者のコミュニケーション下手の原因にはそんな事情もあるのかもしれない。

 「大切なのは、バイト敬語が常識的にも語法的にも間違っている、と考える人をきちんと意識すること。公の場や年配の人とお付き合いする時などは、バイト敬語は通用しないと考えておいたほうがいいですね」。当然のことながら就活の面接ではバイト敬語はNG。社会人になってからも、職場や取引先では使わないのが常識だ。そう考えると、今現在はバイト敬語が通用する場所のほうが少ない。染みついてしまっている人は早めに直しておいたほうがいいのでは?

※この記事はウゴパン32号(2013年12月13日発行)に掲載されたものです。

バイト敬語

こんなかわいい子に接客されても、「こちらお水になります」などと言われると世の中のオジサンはムッとしてしまう。そんなオトナがほとんどだということを知っておくことが大切だ。

中村一夫

中村 一夫 教授

国士舘大学文学部文学科教授。大阪大学大学院文学研究科博士課程修了。博士(文学)。専門分野は日本語学(平安・鎌倉時代)。著書に『源氏物語の本文と表現』(単著)、『日本文学どっとコム』(共著)など。推しは「BELLRING少女ハート」。

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