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ますます深刻化する格差社会――

いわゆる「グローバル化」の政治的真相とは?

 「グローバル化」という言葉はいい意味で使われることが多い。今回はその「グローバル化」の裏の側面を政経学部政治学科の石見豊教授に聞いた。

 「グローバル化は戦後日本政治史的、言い方を変えると自民党の戦後史、政策史的に理解すべきだと思っています。神戸女学院大学名誉教授の内田樹氏の見立てによると、いまの自民党政権は国民の利益よりグローバル企業の利益を優先する政策をとっているので、日本は国民国家として解体過程に入っている、とのことです。例えば、グローバル企業は原発を止めたら製造コストが値上がりし、生産拠点を海外に移すと恫喝する。グローバル人材育成として教育コストまで国家にたかる。本来なら企業が支払うべきコストを国民国家に押しつけて利益だけを確保し、政府もこれを支援するのです。さらにやっかいなのは、そのグローバル企業が日本企業の皮を被っていること。創業者こそ日本人かもしれませんが、株主も経営者も従業員も多国籍、生産拠点も無国籍。それでも政府は、“日本企業の生き残り”の美名のもとに、グローバル企業を支援する。では誰が得をしているのか。大資本家である米国の超富裕層です。いまの日本におけるグローバル化の正体とは、日本の国富を米国の超富裕層の個人資産へ移し変えることなのです」。

 実体はグローバル企業なのに日本企業を名乗るのは、“企業利益の増大=日本の国益の増大”と錯覚させるため。錯覚すれば負担増も受け入れやすくなるからだ。そのためにはナショナリズムも利用する。

 「グローバル化(国際化、自由化)とナショナリズム(自民族中心主義)は対立するようで、実は同じコインの裏と表。格差や負担増に対するガス抜きとしての中韓批判が繰り返され、矛先は決して米国に向きません。戦後の日本政治は日米関係が基軸です。安倍政権は戦後もっとも親米的な政権として、米国の富裕層から強い支持を受け続けるでしょう。かつての通産省には国内産業保護派と国際化重視派の対立が、外務省には国際協調派と排他的日米関係重視派の対立がありました。一番の問題は、いまはこうした対立がなく、またナショナリズムや日本企業生き残りの美名のもとに、一つの価値観が力を持ちすぎていることかもしれません」。

※この記事はウゴパン31号(2013年10月31日発行)に掲載されたものです。

グローバル化,格差

2011年9月に米国ウォール街で発生した「ウォール街を占拠せよ」。1%の富裕層が富を独占し、所得格差が広がっていることへの抗議運動。グローバル化の牽引役である米国自身が、世界でもっとも深刻とも言える所得格差の問題を抱えているのだ。

石見豊

石見 豊 教授

国士舘大学政経学部政治学科教授。東北大学大学院情報科学研究科博士課程修了。博士(情報科学)。専門は行政学、地方自治など。著書(単著)に、『英国の分権改革とリージョナリズム』、『戦後日本の地方分権—その論議を中心に』など。

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